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中村 充孝; 中島 健次; 梶本 亮一; 新井 正敏
Journal of Neutron Research, 15(1), p.31 - 37, 2007/03
同時に多数の非弾性散乱過程を測定することができれば、チョッパー分光器の測定効率は大きく向上する。そのような測定では、パルス源の1周期内に複数の入射エネルギーを持つ中性子ビームを試料まで導かなければならない。この方法はMezeiにより提案されたものであり、Repetition Rate Multiplication(RRM)法と呼ばれる。われわれは、単色ビーム実験で最高の性能を発揮するチョッパー分光器の設計を行うことが最優先課題であるので、RRM法はオプション的な運用かもしれない。しかしながら、チョッパーブレードの交換や非常に長い飛行距離を必要とせず、わずかな設計変更のみで、高性能のRRM法を実施することが可能である。今回は、J-PARCでのチョッパー分光器でRRM法を実現するための装置設計とその性能について紹介する。
梶本 亮一; 横尾 哲也*; 中島 健次; 中村 充孝; 曽山 和彦; 猪野 隆*; 社本 真一; 藤田 全基*; 大山 研司*; 平賀 晴弘*; et al.
Journal of Neutron Research, 15(1), p.5 - 12, 2007/03
われわれはJ-PARCのパルス中性子源に向けて新しいチョッパー型中性子非弾性散乱分光器4SEASONSを開発している。この分光器は中程度の分解能とISISの同種の装置の2桁上の測定効率を有する。この分光器では新奇な量子現象、特に高温超伝導体の機構の解明を目指す。中性子輸送系を工夫することで試料位置での高いフラックスを達成し、エネルギー遷移におけるエネルギー分解能は5-6%である。さらにこの分光器に特徴的なことは、Repetition Rate Multiplication(RRM)法による測定が可能なことである。RRM法によって複数入射エネルギーの同時測定を行うことで測定効率は5倍以上向上し、4次元-空間内の測定がより容易になる。
高橋 伸明; 柴田 薫; 佐藤 卓*; 新井 正敏
Journal of Neutron Research, 15(1), p.61 - 67, 2007/03
J-PARC, MLFに建設予定の逆転配置型非弾性中性子散乱分光器は、散乱ベクトル・エネルギー範囲がそれぞれ0.1-3.9, 2eV-35meVを達成するように設計されている。通常の測定においては、25Hzで回転する幅広いウインドウを持つ三枚のパルス整形チョッパーを通り得た白色中性子を入射ビームとして用い、サンプルにより散乱された中性子をPG, Ge二種類の結晶アナライザーで特定エネルギーの中性子のみを反射し、検出器によりカウントされる中性子の飛行時間からエネルギー変化を見積もる原理となっている。一方、本分光器は超高エネルギー分解能を必要とする測定にも耐え得る設計となっており、それはサンプルに照射される入射中性子エネルギー幅、及び検出器に入る散乱中性子エネルギー幅ともに非常に狭くすることにより達成される。超高速(300Hz)で交互回転するウインドウ幅の狭いチョッパーを三枚のチョッパーよりも上流に設置し、なおかつ内部異方性の小さいSi単結晶をアナライザーに用いることにより、エネルギー分解能2.5eVが達成されるが、入射中性子エネルギーを狭く選別することはモデレータから出る中性子のほとんどを捨てることと等価であり、測定効率としては決して高くはない。そこでわれわれは、入射中性子パルス数を増加させることによりエネルギー分解能を損なうことなく測定効率を上げる方法を検討したので報告する。
中島 健次; 中村 充孝; 梶本 亮一; 長壁 豊隆; 加倉井 和久; 松田 雅昌; 目時 直人; 脇本 秀一; 佐藤 卓*; 伊藤 晋一*; et al.
Journal of Neutron Research, 15(1), p.13 - 21, 2007/03
われわれは、J-PARCの物質・生命科学実験施設に設置する中性子分光器の1つとして、冷性子ダブルチョッパー型分光器を検討している。この分光器は、冷中性子から熱中性子領域にかけての非弾性散乱測定を高効率かつ高い自由度で実現することが期待される装置である。2つの高速ディスクチョッパーを装備し、減速材から得られる中性子パルスの波形を任意に整形することで、これまで直接配置型分光器にはあまり向かないとされてきた結合型減速材の高いピーク強度を装置の性能を損ねることなく利用する。本装置では、=120meVの比較的低エネルギー領域で高分解能(%@20meV),大強度(試料位置で10n/cm/sec.@=20meV, %)の最高性能を実現し、さらに最大で=80meV程度までの測定に対応する。この広いエネルギー範囲で、3.5srの立体角をカバーする検出器により広い領域にわたって、最高%程度のQ分解能で非弾性散乱を測定し、物性物理から材料化学,生体物質の広範囲の研究課題を視野に入れている。
新井 正敏
no journal, ,
科研費特別推進研究が採択され、酸化物高温超伝導体の機構解明のためにJ-PARCに現在世界最高性能の装置の100倍以上の性能を持つ非弾性散乱実験装置の建設を開始する。一方、米国SNS,英国ラザフォード・アップルトン研究所,フランス欧州中性子実験研究所(ILL)等でも高性能非弾性散乱実験装置の開発,建設が開始されている。本ワークショップでは、海外の装置の情報を得ると同時に、本研究が目指す装置の実現のための意見交換を行う。本講演はそれに先立ち、本ワークショップの趣旨の説明等を行う。